継続して受託している阿蘇草原再生協議会の事務局業務。今年度は新たに公益的機能の受益者から資金・労力を還元して貰うための方策として、阿蘇草原の野焼きを対象としたカーボンクレジット創出に向けた検討を行った。また野焼き専門家集団の育成に向けた検討を深め、各市町村や牧野組合と協議を重ねて新たな担い手候補を募集し、試験的な野焼きの講習会を実施した。その他、「阿蘇草原再生協議会 情報プラットフォーム」の運用や、環境省とロアッソ熊本の連携イベントの運営支援など草原からの恩恵を受ける不特定多数の人々に向けた普及啓発に取り組んだ。
本業務では、屋久島の自然観光資源に対するオーバーツーリズム対策の一環として、エコツーリズム推進法に基づく特定自然観光資源の指定検討に係る関係会議の開催支援を実施した。主に縄文杉が位置する大株歩道を対象に検討を行い、現在の縄文杉登山の利用状況を整理したうえで、「指定することのメリット・デメリット」や「指定する場合の考えられる具体運用方針とそのメリット・デメリット」等について論点整理を行い、行政関係者や観光事業者、地域住民などで組織される「特定自然観光資源検討グループ」において協議を行った。
継続して受託している業務であり、昨年度に引き続き、2024年度の上高地ビジョン改訂に向け、中部山岳国立公園上高地連絡協議会の各種会議の開催支援を行った。現行ビジョンの行動計画進捗状況を把握・共有したうえで、4つの評価部会(防災・生物多様性・観光・山岳利用)において次期ビジョンで盛り込むべき取組についてWS形式で協議を行った。そして協議会総会で地域別目標設定など次期ビジョンでの新たな計画づくりの考え方や進捗評価方法について協議した。
屋久島国立公園では前回の公園計画点検が平成24年に行われているが、大規模な国立公園拡張をおこなった再検討(平成14年)から約20年が経過し、新たに公園計画の点検を行う必要が生じていた。本業務では、今後公園区域の拡張を含めた点検作業を行っていくために必要な各種GISデータの収集・整備を行い、あわせて屋久島自然保護管事務所の職員を対象にGISソフトの操作等にかかる基礎的な講習を開催した。
富士山における適正利用推進協議会では「適正利用推進プログラム」を策定し、取組を進めてきたが、本業務では、その最終年度に当たっての効果検証・評価を行った。また協議会事務局(富士箱根伊豆国立公園管理事務所、山梨県、静岡県)が管理運営を行っている富士登山オフィシャルサイトが運用開始から10年経過したことから、情報不足から問題を起こしがちな外国人利用者に情報提供が適切に行えているかとの観点を中心に、同サイトの分析及び改修案等の提案を行った。
令和5年度、新型コロナウイルスの5類移行を受け各地で観光客数が回復し、オーバーツーリズムが社会問題となった。これを受け、観光庁を中心に国による対策パッケージが取りまとめられ、 富士箱根伊豆国立公園内の富士山においても「富士登山オーバーツーリズム対策パッケージ」をまとめることになった。これらの状況を踏まえ、本業務では、富士山の主要登山ルートの特徴や課題を整理し、オーバーツーリズム対策に有効なゲート機能と利用動線を明らかにした模式図を作成した。更に、富士登山関係者の共通理解を図るため、国内外における既存のゲート機能事例について調査し参考事例集としてまとめた。