平成29 年3月に我が国で34 番目の国立公園として指定された奄美群島国立公園は、「生態系管理型」、「環境文化型」という従来にない2つの新しい考え方を柱に置き、管理を行っていく方針とされている。本業務では、地域の多様な関係者と国立公園の目指す姿や将来目標、国立公園の保護と利用の推進すべき方向性について認識を共有しながら、国立公園の管理運営を協働により進めていくための計画の検討を行うことを目的に、奄美大島及び徳之島地域8市町村において現地調査や関係機関(国・県・市町村)のヒアリング、住民との意見交換会などを行い、計画の素案を作成した。
環境省では、国立公園における再生可能エネルギーの効率的導入促進を名目に、全国の国立公園において自然環境に関する情報の一元的把握が容易になるよう、インベントリ整備に取り組むこととなった。
本業務は、阿蘇くじゅう国立公園及びその周辺地域を対象にそれに着手したもの。国立公園内に存在する景観資源の構成要素を、物理環境要素、生物的要素(生物種・生物群集)、その他景観要素に分類し、各構成要素について、既存文献・資料調査及び専門家ヒアリングを通じて情報収集を行った。収集した情報は、全国の国立公園で共通の様式を基に整理し、各構成要素のリストを作成するとともに、位置情報が明確な場合は、一般的なGISソフトウェアで扱えるようGISデータ(シェープファイル)を作成した。また、情報収集に当たっては、国立公園の区域及び地種区分の根拠情報となる図面等を併せて収集し、阿蘇くじゅう国立公園の区域区分図のGISデータ作成を行った。インベントリとしては未完成であり、次年度以降も業務継続することが想定されている。
阿蘇市では、「観光と農業・草原をつなぐ、循環型観光の推進拠点」として、環境省が直轄整備する「草原学習センター(仮称)」に隣接して「エコツーリズムセンター(仮称)」の整備に着手し、平成24・25年度に整備基本計画及び施設運営計画を作成、さらにこれらを踏まえ、当該施設の実施設計を行った(いずれも弊社受託業務)。本年度は建設工事の発注、施工が開始されたが、本業務では、実施設計に引き続いて、地元設計事務所等の協力を仰ぎながら工事監理業務を実施した(27年3月竣工)。
阿蘇地域では、草原をテーマとしたエコツーリズムを推進していくため、「観光と農業・草原をつなぐ、循環型観光の推進拠点」の整備に着手。この拠点施設は、環境省が直轄整備する「草原学習センター(仮称)」と阿蘇市が整備する「エコツーリズムセンター(仮称)」が連携して機能を発揮することにより、地域活性化を図りながら環境保全の取り組みを進める拠点施設として期待されている。
本業務では、「エコツーリズムセンター(仮称)」の整備(平成26年度着工予定)に向け、ワークショップ等により関係者との合意形成を図りつつ、整備基本計画及び施設運営計画を作成するとともに、供用開始に向けた課題や施設整備が目指す阿蘇地域の将来像を取りまとめた。さらに、整備基本計画等を踏まえ、当該施設の実施設計を行うとともに、開発許可申請、建築確認申請などの申請手続き、環境保全性能の評価など工事にかかる一連の業務を実施した。
皇居前広場を中心に多くの利用者が訪れる皇居外苑地区は、開放公園であるため来園者総数が正確には把握できず、収集可能な一部のデータからの推計が行われている。本業務では、近年の利用動向の変化も踏まえたより正確な年間利用者数の算定手法を編み出すことを目的に、推計手法の点検・見直しと利用実態調査を実施し、これらの結果を基に新たな算出手法の提案を行った。
阿蘇の草原を保全しつつ活用し、地域活性化に結びつけるため阿蘇地域市町村が策定する「総合戦略」の作成を支援した。総合戦略は平成25年度から5年間に地元で優先的に取り組むべき施策をまとめたものであり、草原維持・活用や観光消費・食料生産基盤の確保に向けて5つのプロジェクトを柱に11の事業(27細項目)内容を示した。また、戦略実現のために障壁となる制度の規制緩和等を図るため、「地域活性化総合特区」の申請書類作成を支援した。