離島航路の多くは住民の暮らしに必要不可欠な生活航路であり、船舶の建造に対しても各地方で策定される「航路改善計画」に基づき国からの補助が行われている。伊豆諸島の八丈島~青ヶ島航路、小笠原諸島の父島~母島航路では、この計画により平成26年、28年にそれぞれ新造船が建造され就航したが、両航路でこれらのドック期間中の予備船として運航されている「ゆり丸」は船齢20年を超え、主船との間で定員や性能等に大きな差が生じている。このため、人口や観光の動向など両航路を取り巻く状況の分析及び航路利用関係機関のヒアリング、住民アンケートなどを通じて両航路が抱える諸問題を把握・分析し、「ゆり丸」の代替を中心とする航路運営の課題の整理を行った。
「伊豆諸島航路における航路改善計画(H23.3)」(=現行計画)の策定から6年余りが経過し、新造船の一部導入の検討など東京~八丈島航路(東海汽船株式会社)を取り巻く状況が変化する中、現行計画の改訂に向けた関係者間での検討・合意形成を図るため、本調査を実施した。具体的には、現行計画の進捗状況の分析・評価、航路改善に対するニーズ調査(航路の旅客輸送機能についてのアンケート調査及び貨物輸送機能についての関係者ヒアリング)を行うとともに、財務会計の専門家による当該航路事業及び航路事業者の財務診断を実施し、航路改善に向けた検討課題を抽出・整理した。それらの結果をもとに、当該航路について、東京都離島航路改善協議会での協議を経て、現行計画の改訂案をとりまとめた。
平成30年夏の世界自然遺産登録を目指し※、前年度に引き続いて、世界自然遺産 奄美トレイルの推進、奄美大島・徳之島における拠点づくりの具体化に関する検討、南方文化研究に関する有識者ヒアリング、遺産登録に向けて気運を醸成するための普及啓発イベント等を実施した。普及啓発イベントにおいては、世界で初めて世界自然遺産に登録された南米ガラパゴス諸島で国の機関や地域住民とともに保護管理に取り組んできた、チャールズ・ダーウィン研究所のアルトゥーロ・イスリエータ所長を招き、講演およびパネルディスカッションを実施した。
(※平成30年5月4日にユネスコの諮問機関であるIUCNより登録延期勧告を受け、日本政府は同年6月1日に推薦を取り下げた。)
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平成26~28年度の業務に引き続き、小豆島町地方創生関係施策の推進に資することを目的として島外の有識者を中心とした懇談会を開催した。本年度は、29年11月に東京で開催された離島のイベント「アイランダー2017」(国土交通省・(公財)離島センター主催)の会場において、来場者を対象とした「小豆島の魅力に関するアンケート」調査を実施。また、昨年度に引き続き、追手門学院大学成熟研究所との共同研究として「都市に住む学生と小豆島の地域社会との新たな交流のかたちを探る調査研究」を実施した。平成30年1月に開催した懇談会では、4年間の本事業を振り返るとともに、今後の小豆島における課題や展望を論じ、総集編ともいえる議論を行った。
平成26年度に策定した屋久島環境文化財団長期方針にしたがい、財団の今後のあり方についての包括的な実施計画策定のための提言を得るため、有識者懇談会の開催及びヒアリングを実施した。また長期方針の具体化のため、①「教育の島づくり(利用系)」②「全国募金(資金系)」③「奄美との勉強会(交流系)」の3テーマの下に関係者ヒアリング、文献調査を行い、活用可能な資源、新たなプログラムや仕組みづくり、広報活動のあり方等について検討した。
独立行政法人国際協力機構(JICA)では、1990年代後半より途上国の地方行政支援(=ローカルガバナンス支援)が活発化しており、行政官の人材育成とともに住民参加型の計画・実施により公共サービスを効果的・効率的に提供していく能力の向上を目指しているものの、財源難、人材不足などの制約を抱えている。一方、日本国内において「地方創生」の流れの中で、官-民-住民の連携による地域づくりの取り組みが出てきていることから、途上国のローカルガバナンス強化の支援において有用な日本の地方創生リソースを整理・体系化し、途上国と日本の双方がwin-winになる活用方策を検討することが望まれるようになった。
本業務では、JICAの関連部署・組織への聞き取りを通じて、近年の途上国における地方開発の課題及び国内の地方創生リソースに関する具体的な情報把握と認識把握を行うとともに、地域マネジメントの観点から国内の7つの関連事例を取り上げ、フィールド調査を踏まえた取り組みの詳細な分析を行った。それらの結果をもとに、地方創生リソースを発掘する条件、および発掘したリソースを効果的に途上国に適用するための方法と留意点をとりまとめ、『地方創生リソース発掘・活用ハンドブック~途上国における地域マネジメントのために~』を作成した。